人見知りだった彼を変えた音楽との出会い・ミュージシャン 有島コレスケ インタビュー後編

2018.02.26

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人見知りだった彼を変えた音楽との出会い
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有島コレスケ インタビュー後編

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いくつものバンドを掛け持ちし、ギターもベースもドラムもこなす、現代の“超”マルチプレイヤー・有島コレスケさん。
自身のことを人見知りと語る彼は、どんな幼少期を過ごしたのか?
その足跡を辿る。

木魚に合わせて体を揺らしていた幼少期

──幼い頃は転勤が多かったそうですが、仲間内ではどんな存在でしたか?

どちらかというと、イケてないグループだったと思います(笑)。僕は2歳のときにドイツに行き、それから2年おきぐらいに千葉・大阪・オーストラリア・東京と転々としたんですけど、小学校6年生のときに日本の子どものドライな感覚に心を折られまして……。それまでオーストラリアの純粋な子どもたちとワイワイ言っていたのに、いきなりカースト制度が出現!みたいな。今も人見知りをしてしまうのは、そのときの経験からきている気がします。

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──当時から音楽には触れていたんですか?

家にあるギターを触ったり、音楽室のドラムを叩いたりはしていましたけど、本格的に始めたのは中学の軽音楽部に入ってからですね。そのときに自分は他の人よりも楽器の上達が少し早いらしいということに気付いて、自信がついたのかもしれません。音楽さえあれば、最悪なんとかなるだろう、と。

──有島さんの曽祖父は文豪、祖父は俳優という芸術家系ですが、音楽以外の表現に興味はなかったんですか?

「5歳のときに、お寺でお坊さんの叩く木魚の音に合わせて体を揺らしていた」という有島家で語り継がれるエピソードがあるくらいなので、基本的には音楽一筋ですね。中学生になってからは、道場破りみたいな感覚で、他校の楽器の上手いやつに会いに行ったりして、交友関係が広がっていきました。

──〈arko lemming〉のセカンドアルバム『SPACE』は、「OUTER」と「INNER」の2枚組となっていますが、ご自身にもある種の二面性を感じますか?

やっぱり、日や相手によって多少は性格が変わりますよね。たとえば趣向に関して言うと、すごく明るくハッピーな作品が好きなときもあれば、ひたすら自省的な物語に惹かれることもある。そういった意味での二面性を、このアルバムでは表現しました。

──幅広くバンドに所属する中で、様々な方にお会いすると思いますが、有島さんの思う「素敵な人」とは?

オタクの方です。志磨くんもオタク的な部分が強い人だと思うんですけど、この間コミケに行って、改めてオタクの美しさに気付いたんですよね。僕には本を1冊作れるほど詳しい分野はないなぁ、って。コンプレックスもありつつ、彼らのことをうらやましく思います。

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──部活動時代から一貫して幅広く活動されていますが、今後の活動の展望などありますか?

30歳になるまでは、少し分野を絞った方がいいかなと考えていた時期もあったのですが、今はもう後戻りできないな、と(笑)。これからも、どんどん有島をお誘いいただけるとうれしいです。

歌も楽器も一人でこなせる有島さん。それでもなぜソロに集中するのではなく、バンドを組むのか? 理由を聞くと「全部自分の思い通りにならないからこそ、想定外の作品が生まれる。それが楽しいんです」という答えが返ってきた。今後も新たなプロジェクトが続々と控えるという彼は、次はどんな姿を私たちに見せてくれるのか? 楽しみに待ちたい。

Written by Yosuke Noji
Edited by Kentaro Okumura

profile

有島コレスケ

“一人バンド“である arko lemming として活動。作曲、作詞、編曲、ドラム、ベース、ギター、パーカッション、キーボード、ヴォーカル、コーラスの全てを一人で演奏し、2015年に1stアルバム「PLANKTON」、2017年に2枚組の2ndアルバム「S P A C E」をリリース。個人としても、所属するバンドtoldではベース、0.8秒と衝撃。ライブメンバーとしてドラム、ドレスコーズではアルバムやツアーにおいてベース、コーラスを担当、2017年のツアーではギタリストとして帯同。RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017において即興演奏イベント“ROUND ROBIN”に出演、と縦横無尽に活動中。最近はギターとルーパーを使い一人で多様な音を重ねていき曲を演奏する即興性の高いライブを展開。曽祖父は白樺派の文豪、有島武郎。祖父は黒澤明監督『羅生門』で知られる名優、森雅之。

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