女性プロゲーマーはつめさん── 新しいことに挑戦し続ける

2018.12.03

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女性プロゲーマーはつめさん──
新しいことに挑戦し続ける

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格闘ゲームの世界では、日本で史上3人目となる女性プロゲーマーのはつめさん。18歳という若さで衝撃のプロデビューを飾った。前例のほとんどない女性プロゲーマーという世界で、挑戦を続ける彼女の決意とは──

勝つも負けるも自分次第。努力が必ず
結果となって現れるのが格ゲーの魅力

──ゲームを好きになったきっかけは?

もともとはゲーム好きだった父の影響です。小さな頃からゲームをしていて、自然と好きになっていったという感じですね。一番最初の記憶だと、PlayStation 2の時代に、サルゲッチュというゲームに夢中になったのを覚えています。オンラインのゲームをするようになったのは小学校3年生の頃。シューティングゲーム(FPS)にハマって、放課後はいつも家でゲームをしていました。

──いつ頃からプロを目指そうと思いましたか?

高校生ぐらいの時でしょうか。もともと飽き性で何をやっても続かない私が、唯一続いていたのがゲームだったんです。中学時代から周りにもゲーム好きな友達が多くて、本当にゲーム漬けの毎日。高校生になってもそんな生活は変わらず、チームを組んでFPSのオンラインにいつも没頭していました。その頃から、ゲームに関わる仕事に就けたらいいなと考えるようになりました。当時は、広告代理店勤務やエンジニアの仕事など、ゲームに携わる仕事に就きたいなと思っているくらいでした。プロゲーマーというジャンルももちろんなかったですし。

──当初から格ゲー(格闘ゲーム)で、プロを目指そうと?

高校2年生の頃に5人チームでやっていた、FPSのチームでプロになる話が持ち上がったんです。ただ、そのスポンサーサイドとしては女性に入って欲しくなかったみたいで…。当時チーム内で私一人が女性だったので、仲間には頑張ってほしいし、私は辞退するしかありませんでした。プロゲーマーの世界は99%以上が男性の世界。女性が活躍できる場が少ないのはわかっていたことなので仕方がないとは思いつつも、やっぱり落胆する部分もあり少しFPSから遠ざかっていたんです。そんな時、何気なく格ゲーをやるようになって。はじめて格ゲーの大会を見に行った時、その熱気に感動! 普通ゲームって大きな歓声が上がったり、本当のスポーツみたいに盛り上がったりしないんですよ。それなのに、その会場は本当に会場全体がひとつになって盛り上がっていて。私もこの舞台に立ちたい! この人たちと一緒にゲームをしたい! と思い、プロを目指す決意をしました。

──格ゲーの魅力はどんなところですか?

格ゲーは、チーム戦のFPSと違い、勝つも負けるも自分一人の責任。練習すればするだけ上達するので、達成感があるんです。あと、やっている人の年齢層が他のゲームより高いということもあり、みんな大人で温かい人が多い印象ですね。これまで、女性で10代ということで、いろいろネットで批判されたりすることも多かったんですが、格ゲーの人たちは、そういうのが少ない気がします。もちろん、経験も浅くてプロになったので、叩かれることもありますが、本気で頑張っていることを伝えれば受け入れてくれる方も多いので、本当にありがたいなと思います。

──プロになったきっかけは?

格ゲーと出合って、プロになりたい気持ちと進学を迷っていた時、知り合いの紹介で、今のスポンサーであるCOMPさんにお会いする機会をいただいたんです。当時COMPさんはスポンサー活動をしていなかったんですけど、「何かに夢中になっている時に、手軽に食べられる完全バランス栄養食」というCOMPさんのコンセプトと、ゲームというのがマッチするのではないかと、興味を持っていただいたんです。ゲームをしていると、食べるのを忘れるほど夢中になってしまう私にまさにぴったりでした(笑)。当時私は格ゲーをはじめてまだ1年ちょっとで、もっと上手なゲーマーの方はたくさんいたんですけど、「成長の段階を見せるプロがいてもいいんじゃない?」と言っていただき、契約を結び、プロになりました。

──プロになることに不安はありませんでしたか?

プロゲーマーで女性は本当に少ないので、不安はもちろんありました。進路を決める時期は、どの道に進めばいいか本当に自問自答を繰り返して…。でも結局好きなことを仕事にできる喜びの方が断然大きかったんです。負けず嫌いなので、今は不安よりも絶対強くなってプロとして成功してやる! という気持ちの方が大きいですね。

──プロになって環境や気持ちの変化はありましたか?

趣味が仕事に変わったので、いっそう練習に励むようにもなりましたね。毎年7月にEVO(Evolution Championship Series)という世界最大級の格ゲーの大会があるんですけど、そこでプロになった年に、1日目のプールを抜けて2日目に進むことができて。悔しい負け方だったんですが、終わったあとに、周囲の人が「おつかれ」とか「頑張ったね」などと温かい言葉をかけてくれて、少し認められた気がしてうれしかったです。まだまだ強くなれると思うので、毎日地道に練習を重ねていきたいと思います!

夢を叶えてもまだスタート地点にたったばかりと語るはつめさん。後半では、女性プロゲーマーの具体的な仕事内容や、昨今のe-sportsブームによる業界の変化など、プロとしての活動や業界の動向について伺います。

Written by Mai Ueno
Photos by Kenji Nakata

はつめ

ストリートファイターⅤのキャミィ使い。2016年株式会社コンプとスポンサー契約を結び、格闘ゲームでは日本で3人目のプロゲーマーとなる。2018年7月、プロゲーミングチーム「父ノ背中」に加入。YouTube配信をはじめ、オンラインゲームの配信やユーザー主催の大会配信MCを務めるなど、多岐にわたって活躍中。

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